内視鏡検査で何が分かる?前日の食事は?検査前に知っておきたいこと
「胃や腸に気になる症状があるけれど、内視鏡検査が怖いから病院に行く勇気が出ない」というように、内視鏡検査に不安を抱く方は多いことでしょう。
しかし、内視鏡検査は何が分かる検査かを知り、痛みの目安や当日・前日の過ごし方が分かれば、不安が和らぐかもしれません。
そこで今回は、検査前日の食事も含め、初めて内視鏡検査を受ける前に知っておきたい情報をお伝えします。
内視鏡検査の種類
内視鏡検査では、先端に小型カメラやレンズを内蔵した細長い管を挿入し、臓器の内部に病巣がないかを観察し、時には治療を行います。内視鏡検査の主な種類は次のとおりです。
1)上部消化管内視鏡検査…食道、胃、十二指腸を調べる。
2)下部消化管内視鏡検査…大腸と小腸の一部を調べる。
3)小腸内視鏡検査…小腸腫瘍などの観察・組織採取に用いる。
4)胆・膵内視鏡検査…胆のうや膵臓の病気を診断・治療に用いる。
最も頻繁に検査が行われる「上部消化管内視鏡検査」と大腸カメラとして知られる「下部消化管内視鏡検査」を詳しく解説します。
上部消化管内視鏡検査で何が分かる?
上部消化管内視鏡検査とは、いわゆる「胃カメラ」のことです。口か鼻から内視鏡を挿入し、モニター画面を見ながら対象の臓器を観察します。個人差はあるものの、検査時間は5~10分程度です。異常がない場合は観察のみで終了します。
上部消化管内視鏡検査で分かるのは、主に次の病気です。
・逆流性食道炎、食道がん
・食道静脈瘤
・胃十二指腸炎
・胃十二指腸潰瘍
・慢性胃炎、胃がん
・胃腺腫、胃ポリープ
次に該当する方は、上部消化管内視鏡検査を受けることがすすめられています。
・胸焼けや胃の不快感、むかつきがある方
・胸のあたりやみぞおちの痛みがある方
・家族にピロリ菌に感染した方がいる方
・胃がん検診で要精査となった方
・黒い便が出る方
・採血で貧血が認められた方
下部消化管内視鏡検査で何が分かる?
下部消化管内視鏡検査では、肛門から内視鏡を挿入し、モニター画面を見ながら腸の粘膜を観察します。 検査時間は腸の形や長さによって前後しますが、10〜20分程度です。異常がない場合は観察のみで終了します。
下部消化管内視鏡検査で分かるのは、主に次の病気です。
・大腸がん
・大腸腺腫(ポリープ)
・潰瘍性大腸炎(指定難病のひとつ)
・クローン病(指定難病のひとつ)
また、便秘や過敏性腸症候群と似た症状があらわれる大腸がんや炎症性腸疾患を否定するために検査をする場合もあります。
次に該当する方は、下部消化管内視鏡検査を受けることがすすめられています。
・慢性的な便通異常(便秘、下痢)がある方
・一度でも血便が出た方
・大腸がん検診(便潜血検査)で陽性となった方
慢性的な便通異常は、数ヶ月単位で続くか、定期的に繰り返す場合を目安にすると良いでしょう。
内視鏡検査を受ける前日・当日に気をつけたいこと
検査前日の食事や当日の注意点などを事前に知っておくと、内視鏡検査を受ける心の準備ができます。ここでは、内視鏡検査を受けるときに知っておきたいポイントをご紹介します。
検査前日や当日の食事について
上部消化管内視鏡検査を受ける場合、通常は前日の夕食後から検査終了まで絶食となります。水は飲むことが可能です。夕食では、油っぽい食事や消化に時間がかかる麺類を避けましょう。検査当日も水を飲むことはできますが、牛乳やジュースなどは控えてください。
下部消化管内視鏡検査では、検査前日の夕食は軽くすませるか検査食を摂ります。自分で夕食を用意する場合は、消化にいいものを選びましょう。当日の朝は絶食です。午後から検査の場合は、昼食も絶食となります。水は飲むことが可能です。
「夕食は何時までに食べる」「お茶は飲んでも良いか」といった食事の詳細は、医療機関によって異なるので、必ず確認して指示に従いましょう。
そのほかの注意点
特に注意したいポイントは3点です。ひとつは、体調を整えるために早めの就寝を心がけること。体調を整えることは、内視鏡検査をリラックスした状態で受けることにつながります。
もうひとつは、検査着に着替える場合に備えて着替えやすい服装で来院することです。また、上部消化管内視鏡検査を受ける際は、ガードルや腹巻といった身体を締め付ける服装を避けましょう。
3つ目の注意点は、常服薬を服用されている方は事前に医師に相談することです。検査当日は服用できない薬もあるので、必ず事前に医師へ伝えましょう。
このほか、下部消化管内視鏡検査では、検査前に下剤を使って腸の中をきれいにします。下剤を飲むタイミングなどは施設によって異なるので、事前に確認しておくと、検査前日や当日がより過ごしやすくなるでしょう。
内視鏡検査ってどれくらい痛いの?
痛みの感じ方には個人差があるものの、異物が体内に入ってくる不安や違和感、物が詰まったような感じを覚える方が多いとされています。
緊張したり、不安が強かったりすると、こうした違和感に敏感になってしまうため、前日から体調を整えてリラックスすることが大切なのです。
上部消化管内視鏡検査では、痛みを軽減するために鼻の中やのどに局所麻酔を用います。また、上部消化管内視鏡検査では鼻から内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡」の方が痛みは少ないとされています。
局所麻酔や鎮静剤について
上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査を問わず、施設によっては眠くなる鎮静剤を使用することがあります。鎮静剤を使用すると、不安を鎮め、緊張を和らげ、苦痛を感じにくくすることができます。
ただし、鎮静剤を使用した場合は検査当日の自動車、バイク、自転車の運転ができないため注意が必要です。また、検査当日の状態や体調によっては使用できない場合もあります。
鎮静剤の使用や有無について知りたい場合は、事前に医師へ確認しておくと良いでしょう。
丁寧で苦痛の少ない内視鏡検査を心がけています
内視鏡検査を受ける際は、患者の不安に寄り添う医療機関を選ぶことが大切です。
当院では、患者様に伝わりやすい言葉を用いた説明を心がけ、検査結果についても共有できるように努めています。また、丁寧な内視鏡操作や適切な声かけによって、苦痛を少しでも和らげられるよう心がけた検査を行っております。
当院では、経鼻内視鏡による上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査を施行しております(下部消化管内視鏡検査については、現在一時休止中です)。不安や疑問などがございましたら、お気軽にご相談ください。