WEB診療予約

ゆいコラム

COLUMN

  • COVID-19について
  • AI事前問診
  • 自由診療
  • HOME
  • ゆいコラム
  • 仮面高血圧をご存じですか?脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まることも

仮面高血圧をご存じですか?脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まることも

2023年3月23日

診察時に測定した血圧は正常なのに、家庭で測定すると血圧が高い状態を「仮面高血圧」といいます。

 

仮面高血圧は、コントロール良好な高血圧患者の9~23%に該当するとされています。さらに、診察室血圧・診察室外血圧ともに安定的に正常な非高血圧の人であっても10~15%該当するため、高血圧患者ではない方も注意が必要です。

 

そこで今回は、仮面高血圧について解説します。

 

仮面高血圧の定義と3つのタイプ

仮面高血圧は、上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)から次のように定義されています。

 

  • 診察室血圧の平均が収縮期血圧140mmHg未満、かつ拡張期血圧90mmHg未満で、家庭血圧測定が収縮期血圧135mmHg以上かつ(または)拡張期血圧85mmHg以上。

 

  • あるいは、家庭血圧測定の代わりにABPM※での24時間平均血圧が、収縮期血圧130mmHg以上、かつ拡張期血圧80mmHg以上。

 

この条件を踏まえ、仮面高血圧は3つのタイプに分類されています。

 

※ABPMは、血圧計を24時間身につけ、自由に行動している中での血圧の変動を測定する検査のこと。

 

仮面高血圧のタイプ【1】夜間高血圧

血圧は1日の中で変動しますが、正常であれば、夜の就寝中は血圧が低い状態で安定します。一方で、夜の血圧が下がらない仮面高血圧を「夜間高血圧」といいます。

 

夜間高血圧では、ABPMまたは家庭血圧計で測定した夜間血圧の平均が 120/70mmHg以上となります。夜間血圧高値が起床後まで持続している場合は、家庭血圧測定によって早朝高血圧であることも分かる場合があります。

 

仮面高血圧のタイプ【2】早朝高血圧

早朝に測定した家庭血圧の平均値が 135/85mmHg以上の仮面高血圧を「早朝高血圧」といいます。早朝高血圧には、夜間高血圧から移行するタイプと朝方に急激に血圧が上昇するタイプがあります。

 

起床前後に急激に血圧が上がることを「モーニングサージ」といいます。軽度のモーニングサージは生理的現象ですが,過度のモーニングサージは健康を脅かすおそれがあるので注意が必要です。

 

仮面高血圧のタイプ【3】昼間高血圧

ストレスを感じる環境における昼間のABPMの血圧平均値が高い場合や、職場での血圧値が135/85mmHg以上の場合は「昼間高血圧」といいます。精神的・身体的ストレスが血圧に影響を与えていることから、ストレス下高血圧とも呼ばれています。

 

ストレス状況にある職場で現れる昼間高血圧は、職場高血圧といいます。職場高血圧は、肥満の人や家族が高血圧である人に多くみられる傾向です。

 

どういう人が仮面高血圧になりやすいの?

仮面高血圧になるリスクが高い条件として、次のものが挙げられます。

 

  • 降圧療法中にあるすべての高血圧患者
  • 高値血圧の方(130-139/80-89mmHg)
  • 喫煙者
  • アルコールを多く飲む方
  • 精神的ストレス(職場、家庭)が多い方
  • 身体活動度が高い方
  • 心拍数の多い方
  • 起立性血圧変動異常がみられる方
  • 肥満・メタボリックシンドロームや糖尿病と診断された方
  • 臓器障害(特に左室肥大)と診断された方
  • 心血管疾患を合併している方

 

起立性血圧変動異常とは、「起立性高血圧」と「起立性低血圧」のことです。起立性高血圧は、立ち上がると血圧が高くなる状態を指します。起立性低血圧では、逆に、立ち上がったときに過度な血圧低下がみられます。

 

仮面高血圧になるリスク群にはさまざまなものがありますが、仮面高血圧のタイプによって特に注意が必要なものがます。たとえば、昼間高血圧がストレスと関係していることは先述のとおりです。

 

夜間高血圧の場合は、糖尿病や起立性低血圧、脳血管障害がリスク因子とされています。ほかにも、睡眠時無呼吸症候群や抑うつ状態がリスク因子になることもあります。

 

早朝高血圧では、とりわけアルコールや喫煙、起立性高血圧や持続時間の不十分な降圧薬などがリスク因子になるおそれがあります。また、寒さが引き金になる場合もあります。

 

仮面高血圧になるとどんなリスクがあるの?

仮面高血圧の方は、腎不全・心不全などの臓器障害や、脳卒中・心筋梗塞といった脳心血管病にかかるリスクが、持続性高血圧の方と同程度であるとされています。

 

また、仮面高血圧は非高血圧に比べて代謝異常をともないやすいとされています。そのため、高血圧治療の有無を問わず、高血圧性の臓器障害が進行しているおそれがあります。

 

とりわけ早朝高血圧は、脳や心臓、腎臓など、すべての脳心血管病リスクとの関連性が高く、将来の脳卒中や後期高齢者の要介護リスクが高くなるとされています。

 

また、夜間高血圧は平均値が高くなるほど脳心血管病リスクが高まるほか、認知・ 身体機能の低下を招くおそれがあります。

 

このように、重い病気にかかるリスクを高めるおそれがあることから、仮面高血圧は早期に発見し、治療することが大切です。

 

家庭でも血圧を測定し、かかりつけ医に見せましょう

自分が仮面高血圧かどうかを知るためには、家庭でも血圧を測定する必要があります。これまで家庭で血圧を測ったことがない方も、この機会に家庭血圧計での測定を始めてみてはいかがでしょうか?

 

『高血圧治療ガイドライン2019』によると、血圧が正常な人の40%が家庭血圧計を所有していると報告されています。稼働する家庭血圧計は推定約4,000万台にものぼり、これは1世帯に1 台に相当します。多くの方が家庭での血圧測定を実践されている証といえるでしょう。

 

家庭血圧を測る際は、朝夕の2回、それぞれ二度ずつ測り、低い方の数値を記録しましょう。そして、家庭血圧の記録はかかりつけ医と共有するようにしてください。

 

仁井田ゆいクリニックには内科・生活習慣病外来があり、高血圧症の診察も行っています。地域のかかりつけ医として、お悩みや症状をお聞きしますので、ぜひご相談ください。